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伝統の織りが現代のデザインに息づく

表と裏とは何か。それぞれが互いの存在によってのみ成り立つのだとしたら?
その違いは、単なる視点の違いにすぎないのかもしれない。本質はむしろ均衡にあり、どちらが優位に立つのでもなく、一つの全体を形づくる、切り離せない両面として存在するのではないだろうか。

About

URA について’ 

「URA(裏)」という名前は、多層的なインスピレーションを反映するために選ばれました。歴史的に、富士吉田で最も名高い織物は、衣服の裏地として使われてきました。それは表には見えないものの、しかし欠かせない存在を象徴しています。地理的にも、この地域は富士山の「裏側」に位置し、一般的にあまり目に触れない側として知られています。さらに、「URA」は、繊維産業における精巧で緻密な技と、その舞台裏で行われる製造工程への敬意も込められています。

このプロジェクトでは、富士吉田の織職人の仕事を世界へ紹介し、国際的なデザイナーとのコラボレーションを促進します。通常は目に見えないプロセスを前面に出すことで、職人たちの創造性と情熱への理解を深めるとともに、その繊細なディテールの持つ可能性をデザイナーたちに届けることを目指しています。

私たちは、この美しく織り上げられた生地の新たな活用方法を探求し、織職人の独自の技と、招待デザイナーの創造的なビジョンを融合させています。

私たちの使命は、富士吉田の豊かな織物文化を讃え、それを未来へと継承することです。そして、その卓越した技術力を世界に発信することを目指しています。URAプロジェクト を通じて、"裏" に秘められた美しさを際立たせ、ものづくりの可能性を無限に広げていきます。

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山梨:織物の歴史が息づく土地

富士山の麓に織り込まれた伝統 – 富士吉田の織物文化

富士山の麓に広がる山梨県富士吉田市は、歴史の中に深く織り込まれた豊かな織物文化を誇ります。この地域の美しい景観と豊富な水資源は、絹の生産と織物業に最適な環境を提供してきました。

富士山の「裏側(URA)」に位置する富士吉田は、その独特な地理条件により、織物産業において課題とともに大きな可能性も秘めていました。標高の高さや主要な水源・交通路からの距離といった環境が、この地の織物産業の発展に大きな影響を与え、極めて高品質かつ軽量な生地が生まれる要因となりました。馬で運搬しやすく、少量でも価値のある織物は、極細の糸を用いた精緻な技術の発展を促し、絹などの最高品質の軽量生地が生み出されました。

代々受け継がれてきた「機屋(はたや)」では、熟練の職人たちが高品質な絹織物を丹念に織り上げ、伝統技術と芸術的な美意識を継承してきました。富士吉田の織物デザインには、日本独自の美意識とともに、西洋の影響、特にシルクロードを通じてオランダ商人によってもたらされた意匠が融合しています。こうした歴史的な交流は、数百年にわたる富士山の麓に息づく日本とオランダの文化的なつながりの礎となっています。

現代においても、富士吉田は伝統的な織物技術を大切にしながら、新たな革新を取り入れ続けています。「FUJI TEXTILE WEEK」などのイベントを通じて、現代の職人たちの作品が紹介され、地元の生地を活用する動きが広がっています。デザイナーとの協力を通じて、伝統的な織物を現代の世界へとつなげ、富士吉田の織物文化の継承と発展を目指しています。

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職人たちについて

025年のURAプロジェクトに向けて、私たちは舟久保織物、Tenjin Factory、渡小織物、前田源商店、槙田商店、Watanabe Textile と協働しました。これらはすべて富士吉田の地元の織元です。彼らの歴史、そして唯一無二の技術に触れていきましょう。

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渡小織物

渡小織物は創業75年の富士吉田で三代続くネクタイ 生地専門の織物工場です。 創業当初は布団などの夜具地、座布団地雛人形の着 物生地などを織っていました。ライフスタイルの変化 によって、それらの需要は減りましたが細い糸で密度 の高い重厚な生地を作る技術は、ネクタイ生地の製 造へと引き継がれ、40年前からネクタイ生地に特化し た織物工場となりました。 今では、ファクトリーブランドの生地製造を中心に、全 国のお客様の元にネクタイを届ける行商販売にも力 を入れています。 ジャガード織りは表と裏で表情が違うのがひとつの特 徴です。ネクタイはモチーフパターンが多く、表でワン ポイントを目立たせる為の差し色が裏では表に出な かった差し色糸のラインが現れます。 ネクタイというプロダクトでは表現できなかった、生 地の表と裏の面白さを活かした新たなテキスタイルと しての在り方を模索しています。 素材:シルク アイテム:ネクタイ

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舟久保織物

舟久保織物は、大正13年に創業以来、傘生地を中心 に様々な生地・模様を織り続けており、ぼかしたよう な、柔らかな表現が美しい「ほぐし織」を得意としてい ます。 3代目の舟久保勝は「ほぐし織」の職人で、日本の中で も知り得る限りでは、傘生地でこの技法を使い、染め から織りまでできるのは舟久保織物だけになりまし た。 ほぐし織は、フランス名がシネ・ア・ラ・ブランシュとい う、高価で、かつ手間のかかる「絣織」を原型として、フ ランスのリヨンにおいて織り方が開発され、日本に伝 わり、ほぐし織りへと継承されました。この技術はフラ ンスでは既に失われ、日本でも染め場が残るのは数 社のみとなっています。 タテ糸を染め上げてから仮織りしていたヨコ糸をほぐ してから抜き、織り上げることで生地の柄が掠れ、柔 らかく奥行きを感じる織物に仕上がるのを特徴とし、 ヨコ糸の色を変えて織り上げる生地は、見る角度によ って色の変化が楽しめたりと、手間がかかる分様々な 表情を見せてくれます。 舟久保織物は、引き継がれてきた伝統技術の継承と ほぐし織りの技術の進歩に挑戦しています。 素材 シルク、コットン、リネン、ポリエステル アイテム 洋服、ネクタイ、スカーフ、インテリア雑貨、 傘、バッグ、靴

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Tenjin Factory

Tenjin Factoryは、富士山のふもとで70年以上にわたり織物を製造しています。今ではほとんど使われていないシャトル織機を用い、その長年培った技術を生かして、日本人の生活になじむようにデザインされたリネン生地を作っています。初代および2代目は主にシルク生地の製造に従事していましたが、3代目の小林新司からはリネン生地の製造に移行しました。 リネンは茎から繊維を取得するため、花や葉を使わないことなどから、自然の生態系への影響や土壌汚染が少ないと言われています。そこで、Tenjin Factoryはリネンを活用することで、環境に配慮し、日常生活に調和する生地の製造に注力しています。 素材: コットン、リネン アイテム: タオル、ハンカチ

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Watanabe Textile

Watanabe Textileは、渡邊織物3代目・渡邊竜康が主宰するテキスタイルブランドです。渡邊竜康は建築、写真、アートを創作の背景に持ち、自然素材を中心としたテキスタイルの新たな可能性を追求し、デザインから織りまで自身で手がけています。 工場にはシンプルな組織を織るのに適したドビー織機が並び、シルク生地生産地のこの地域で広く使われるようになった、コットンのタネの産毛から作る再生繊維キュプラを軸に、ウールや和紙など様々な自然素材を織り交ぜながら、独自の生地の開発を進めています。 2021年、2022年の「Fuji Textile Week」でも独自の布の作品を発表しました。糸や布を重ねてニードルパンチで絵柄を作る技法など、ユニークな取り組みに挑戦し続けています。 素材: 和紙、アルパカ、シルク、コットン、リネン、カシミア、ウール、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、キュプラ アイテム:バッグ、 カーテン、クッション、 ブランケット、衣類、スカーフ

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前田源商店

1921年に創業した、100年の歴史を誇る前田源商店。 傘や婦人服など多種多様な織物の製造を経て、1990 年代にオーガニックコットンと出会い、その素材の素 晴らしさと可能性を世に広めるため、オーガニックコ ットンの生地製造に転換しました。オーガニックコット ンとは農薬などを一切使用していない綿のことで、ま だ知名度も低く、高値によりなかなか販売が難しかっ た頃から、100年続く高い技術をもとに、オーガニック コットンを使った生地の製造を続けてきました。 現在はオリジナル商品も販売し、地球にも使う人にも 優しい生地を届けています。 素材:オーガニックコットン アイテム:ソックス、ハンカチ

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槙田商店

1866年江戸末期に創業した、織物の製造から傘の組 み立てまで一貫して生産することができる、世界で唯 一の老舗織物工場です。 槙田商店の作る傘はすべて織生地で、服地づくりで培 われた技術と傘を組み合わせることで他にはない傘 を生み出しています。繊細な模様や大胆な絵柄は、富 士山の雪解け水で鮮やかに染めた糸を使っています。 高密度な織物だからこそ表現できるデザインの細や かさや、立体感や光沢が、より魅力的な傘に仕上がり ます。これらの織物を、お客様のニーズに合わせた大 きさの傘に仕立てるために、様々なパーツごとに木型 に合わせて裁断し、縫製や手元などの組み立てを、全 て職人の手作業で仕上げています。全ての工程を社 内で行っているため、生地に穴が開いても、職人によっ て手直しすることも可能です。 素材:シルク アイテム:傘

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team

クレジット

コラボレーター

有限会社テンジン

株式会社前田源商店

株式会社槙田商店

舟久保織物

Watanabe Textile

有限会社渡小織物

山梨県立大学 特任教授 増田貴史

中村商事株式会社

丸幸産業株式会社

山梨県産業技術センター富士技術支援センター

有限会社 山十製紙

撮影

Noam Levinger

Go Itami

展覧会デザイン
Sander Wassink

広報

竹形尚子

 

URAプロジェクトは以下の支援を受けています。

富士吉田市商工振興課

山梨県産業政策部産業振興課

駐日オランダ王国大使館

Creative Industries Fund NL

URA 運営組織

ディレクター、プロデューサー、コーディネーター: 株式会社DOSO

クリエイティブディレクター:アリエ・ロゼン

プロジェクトコンサルタント: AOIMOK 代表 石澤依子

アシスタントコーディネーター:鴨志田美鈴

アシスタントコーディネーター:ベルカンプ彩

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